- 「高いモノを長く使う」より
- 「安いモノを短く使う」方が気楽だし
- 「安いモノを長く使う」のが一番オトク!
もくじ
そもそも2択で考えるのは間違い
よく、
- 「高いモノ」を「長く」使う
- 「安いモノ」を「短く」使う
どっちがベストか話題になりますが、そもそも2択で考えるのが間違いです。
人は本能的に、2つのグループに分けたがる【分断本能】
人は思考を単純化しがちな生き物です。
※進化の過程では「あれこれ考えこむ個体」より「単純化して行動できる個体」が生き残りやすいことを考えれば、当然ですね。
これは、ベストセラー書籍『ファクトフルネス』にも記載がある「分断本能」が原因。
“分断本能” とは
「あらゆるものには2つのグループが存在し、両者の間には決して埋まらない溝がある」と、本能的に思い込むこと。
例:世界の国・人が「金持ちグループ/貧乏グループ」に分けられる、という思い込み。実際はいろんな中間層がたくさんいる。
現実は「複雑でカオスな世界」だけど、僕たちは頭の中に「単純で2つに分断された世界」を作り出します。
この思い込みの世界が、間違った考えのもとなんですね。
単純に「高いモノ/安いモノ」には分けられない
今回の話では「高いモノ/安いモノ」の2つに分けるのが、そもそもナンセンス。
- 高いモノ
=品質が良い
=長く使える - 安いモノ
=品質が悪い
=すぐダメになる
あなたも、このような思い込みがあったのでは?
実際のモノは、ケースバイケースです。
- 値段が違っても、自分が感じる品質は変わりない
- 安いモノの方が、耐久性が高い
こんな場合もありますよね。
ただ、これだと非常につまらない結論ですよね 笑
なのでここからは、僕の考える “真のコスパ” について、具体的に解説します。
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モノに感じる “価値” は十人十色
「何に」「どんな価値を感じるか」は人によって様々ですが、ざっくり
- 優越感(他人との比較)
- 使用感(自己満足の世界)
- 耐久性(1回あたりのコスパ)
これらに分けられます。
ただ、モノを買う目的が「①優越感」だと不幸になりがち。
逆に「②使用感」「③耐久性」なら、”真のコスパ” に近づけます。
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モノの価値1:優越感(他人との比較)
あるモノによって、他人から「すごい!」と思われることに価値を感じること。
例:全身ハイブランドで固めてる人
他人目線での満足はキリがない
お金持ちに上には上がいるように、高いモノも際限なく存在します。
なので、「他人から賞賛されて得られる満足」には終わりがありません。
世界一の大富豪もインタビューで、自分の資産について「あともう少し欲しい」と答えました。
人間の欲望が満たされることは無さそうですね。
買い物依存症になる【ドーパミン的快楽】
高いモノは褒められた時のほかに、買うだけでもドーパミンが出ます。
この「ドーパミン的快楽」は気持ち良いのですが
- 刺激にすぐ慣れてしまう
- もっともっと欲しくなる
ことを繰り返して、さらに大きな刺激(賞賛・金額)じゃないと満足できなくなるのが怖いところ。
(※アルコール・タバコ・ギャンブルなどの依存症と、本質は同じ。)
たとえば、高級バッグだと
- 3万円のバッグを初めて買うときは興奮するけど、2回目・3回目…だと、なんとも思わなくなる
- 慣れてくると、30万円のバッグを買っても(褒められても)楽しくない
こんな感じになります。
このドーパミンへの慣れは「他のすべての物事」に及ぶので、末路は日常の些細なことに喜びを見いだせない人になった自分。
モノの価値2:使用感(自己満足の世界)
あるモノを使って、自分が「心地よい」と感じる価値のこと。
例:長年使ってる、着心地の良いルームウェア
先ほどのエクスタシーを感じるような「ドーパミン的快楽」とは違って、心身が健康で爽やかな気持ちのような「セロトニン的快楽」のイメージですね。
幸せとドーパミン・セロトニンの関係については、この本が参考になります。
- ドーパミン的幸福
=「DO」の幸福
=何かを「する」ことで得られる幸福 - セロトニン的幸福
=「BE」の幸福
=そこに「ある」ことで感じる幸福
高すぎるモノは、使ってて落ち着かない
使っていて「心地よさ」を感じるには、自分にとって値段が高すぎないことが重要です。
たとえば、手取り月20万円の人が高すぎるものを持つと
- 「100万のロレックスの時計」
→ちょっとぶつけるだけでヒヤッとする - 「10万の革靴」
→満員電車で踏まれてブチギレ - 「高級バッグ」
→気軽に地面にも置けない
このように、日常がおっかなびっくりになります 笑
このように、身の丈に合わない「高すぎるモノ」は使ってて落ち着きません。
使ってて気分が上がる←ただの勘違い
「使ってて気分が上がる!」ってのは、一時的な気のせいです。
人には慣れがあるので、モノへの高揚感はすぐ元に戻ります。
※ここでもドーパミンが関係しています。
“馴化(じゅんか)” とは
ある刺激が長時間繰り返されると、その刺激に鈍感になって、徐々に反応がなくなる現象。
いわゆる「脳の慣れ」ってイメージ。
かなり高い買い物(強い刺激)でも
- 新車:3ヵ月
- 新築:3年
ほどで、買ったモノに幸福を感じなくなるという研究結果もあります。
なので、モノを選ぶときは
- 気を張らない値段のモノ
- (ダメになったら迷わず同じのを買うレベルで)気に入ったモノ
を重視すれば、使用感が高まるはず。
モノの価値3:耐久性(1回あたりのコスパ)
あるモノを使う期間・回数ごとのコストのこと。
この価値は、①優越感・②使用感と違って計算できるのが特徴です。
例:服の値段を「着る回数」で割り算して考える
たとえば、服を「値札の値段」そのままじゃなくて「1回着たあたりいくらか」で考えてみましょう。
極論、
- 「1,000円の服」を「1回」だけ着て捨てた
→1回あたり1,000円 - 「1万円の服」を「100回」着て捨てた
→1回あたり100円
という感じで、値段が高くても着る回数が多ければコスパ◎です。
この理屈で「高いモノを長く使う」を推奨する人も多いですね。
理由は以下の2つ。
- 値段・耐久性は比例しない
- メンテナンスにも費用・時間がかかる
値段・耐久性は比例しない
値段の高さと、耐久性の強さは比例しません。
たとえば「5,000円のモノ」の耐久性が “3年” なら、「5万円のモノ」は最低でも “30年” 使えないとコスパに合いません。
つまり、高いモノは耐久性(コスパ)が悪いってこと。
実際は5,000円のモノでも5年以上使えたりするので、5万円のモノは50年以上(ほぼ一生涯!)使えないと損です。
さらに言えば、高いモノは(仮に一生涯使えても)必要になるメンテナンスの費用・時間を合わせると、結局コストが高くなりがち。
メンテナンスにも費用・時間がかかる
「高いモノは長く使える」←これ、半分正解で半分間違い。
正確には「高いモノは(メンテナンスすれば)長く使える」ですね。
でも、 “長く使えること” と “コスパ” は、直接関係しません。
なぜなら、長く使うためのメンテナンスにもコスト(費用・時間)が必要だからです。
時間は、過ぎ去ると2度と取り返せない大切な資産です。
それでも、高いモノをメンテナンスしますか?
そのメンテナンスは、本当にやりたいことですか?
ほかにもっと、優先したいことはありませんか?
僕は革製品などのメンテナンスより
- 本を読んだり
- ゲームしたり
- 体を鍛えたり
こういうことに時間を使いたいです。
メガネ・くつ・カバン・服・時計…などなど、メンテナンスをやり出したらキリがありません。
だったら、「気に入った安いモノ」の方が(数年おきに買い替えが必要でも)、トータルコストが安く済むのではないでしょうか。
まとめ:安いモノを長く使おう!
- 「高いモノを長く使う」より
- 「安いモノを短く使う」方が気楽だし
- 「安いモノを長く使う」のが一番オトク!
高いモノは「贅沢」と認識してるなら買ってもOK
高いモノを買うなら「長く使えばお得だから~~」とか、言い訳しないこと。
たとえば、高い服・革小物などを買うときに「着用(予定)回数」を買う口実にしない。
以下の理由から、高いモノはコスパが悪いんでしたよね。
- 値段と耐久性が比例しない
- 長く使えても、メンテナンスコスト(費用・時間)が必要
また、メンテナンスが「本心から楽しい・1番やりたいこと」じゃないなら、“メンテナンス不要な安いモノを買う” と、自分がもっと優先したいことに時間を使えるのも忘れずに。
“トレードオフ” とは
「何かを得る時には、何か別の物を失う」ということ。
あちらを立てればこちらが立たずの、両立できない関係性。
たとえば
- スイーツ食べたい/痩せたい
- アルコール飲みたい/健康でいたい
- 勉強していい成績を取りたい/遊びたい
どうしても高いモノが欲しいなら、もうコスパとか考えずに「10倍の値段の高いモノを、贅沢・浪費する!」ってスタンスで買うのが、スマートではないでしょうか。
大学生の頃に、5万円のメガネ(ポール・スミス)を買いました。
はじめの3ヶ月は気分も上がって大事に使ってたけど、そのうち
- レンズを服で拭く
- ソファーに放り投げる
- ヘアワックスを放置して耳のとこが変色
と、雑に扱うようになって、最後は鼻あてが折れて捨てましたw
結局5年ほどの寿命だったので、JINS(ジンズ)の5,000円のメガネと耐久性も変わらなかったですね。
“真のコスパ” を考える
単純に「高いモノ/安いモノ」の2グループ
- 高いモノ
=品質が良い
=長く使える - 安いモノ
=品質が悪い
=すぐダメになる
に分けられないというのが、まず前提。
そして、モノの価値
- 優越感(他人との比較)
- 使用感(自己満足の世界)
- 耐久性(1回あたりのコスパ)
のうち「①優越感」じゃなくて、「②使用感」「③耐久性」を重視する。
具体的には
- 気楽に使える値段
- 安いわりに丈夫
- メンテナンスが楽
このような、「自分にとって心地よい良いモノ」をとことん使い倒すのが、一番コスパ◎ですね。