Q:2人に1人は「がん」になるなら、がん保険は必要?
A:ほとんどの人にとって、不要です。
はじめに、簡単に自己紹介。
僕は
と、わりと「医療・保険・家計」に詳しいです。
なので、今回のがん保険の話も参考になるかと。
どうしてがん保険が不要か、その理由は
- 「2人に1人もがんになる」なら、がん保険は成立しない
- がんに「若くしてなる確率」は、めちゃくちゃ低い
- がんにかかる「費用」は、貯金でカバーできる
- 「がん保険」と「がんの経過」は、無関係
このあたり。
「がん保険は必要だよね?」と感じるのは、保険会社の巧みなマーケティングの賜物です。
必要な保険の見分け方は、以下の記事が参考になります。
がん保険に限らず、医療保険も不要です。
がん保険に限らず、固定費は敵。
もくじ
「2人に1人はがんになる」のウソ・ホント
この考えには、多くの誤解があります。
2人に1人と聞いて「確率50%か…」と連想しませんでしたか?
- 「50%でがんになる」なら、がん保険に入っちゃダメ!?
- がんに「若くしてなる確率」は、めちゃくちゃ低い
「50%でがんになる」なら、がん保険に入っちゃダメ!?
2人に1人もがんになる(つまり、がん保険で得する)なら、がん保険は仕組みとして成り立ちません。
そもそも保険は、万が一に備えて
- 多くの人からお金を集めて
- 少ない不運な人にお金を渡す
という仕組みです。
でも、高確率なトラブルへの保険だと不運な人が多くなり、仕組みとして成り立ちません。
☆高確率なトラブルには、保険ではなく「貯金」で備えましょう。
※実際は「若くしてがんになる確率」は低い(数値は後述します)ので、保険会社はぼろ儲けしてます。
がんに「若くしてなる確率」は、めちゃくちゃ低い
確かに、「2人に1人はがんになる」は真実です。
でも、それは生涯を通しての話なので、「60代までにがんになる確率」は著しく低いのも事実。
上のグラフは「年齢ごとの、がんになっている割合」を表しています。
男性のピーク時(80-90代)でも4%ほど。
若いとき(20~40歳)はほぼ0%ですね。
※20~40歳の人が「今後10年でがんになる確率」は0~0.5%未満です。
ここまで知ると、「2人に1人はがんになる」への見方が変わったのではないでしょうか。
このように、保険会社はイメージ戦略(人の不安をあおること)がめちゃくちゃ上手なんです。
ところで、万が一がんになったらお金はどのくらいかかるのでしょうか?
たとえ確率が低くても、気になりますよね。
次から、がんになった時のお金の不安を解消していきましょう。
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がんになった時のお金の不安
結論、
- 治療費
- その他の出費
ともに、意外とお金はかかりません。
がんの治療費は、意外とかからない
がんの治療費は「高額療養費制度」のおかげで、3人に2人は50~100万円の自己負担で済みます。
「自己負担が50~100万円」というのがミソで、実際の医療費はもっと高額です。
一時的な支払いは多いけど、高額療養費制度で還付されて、50~100万円に落ち着くイメージ。
保険会社は、「高額な医療費」にフォーカスして、高額療養費制度の説明をしないので注意しましょう。
「高額療養費制度」は、以下の記事で分かりやすく解説しています。
この程度の金銭的リスクなら、貯金で備えればOKですよね。
治療費以外のお金も、意外とかからない
とはいえ、治療費以外のお金も心配ですよね。
たとえば、以下のような出費。
- 差額ベット代(病院の個室代)
- 入院中の食事代・消耗品費
確かに、これらは高額療養費制度の対象外なので、すべて自腹ですが
- 「差額ベット代」:特別大きな出費じゃない(1日5,000円ほど)
- 「食事代・消耗品費」:普段の生活でも必要な支出
なので、治療費と比べて大きな損失ではありません。
実は、差額ベット代は「自ら個室を希望」してないなら支払わなくてOKです。
《差額ベッド代の支払い条件》
- 快適な入院生活のために、自ら個室を希望し
- 病院から差額ベット代の設備・料金の説明を受け、同意書にサインした。
※同意書に「料金」の記載がなければ無効
つまり、
- 治療上必要な場合
- 病院側の都合
など、同意がなければ払わなくてOKなんです。
以上のように、がんに備えてがん保険に入る金銭的なメリットはありません。
補足:保険で「得したい」はNG!→リスクヘッジのコストです
って話を、一度は聞いたことがあるかもですね。
でも、保険は損得から入るものではありません。
「めったに起きないけど、起きたら人生終了」なリスクを防ぐのが保険です。
なので、「得するために保険に入る」という発想は完全NG
あくまで保険料は、リスクヘッジのコストとして扱いましょう。
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がん保険と治療についての誤解
がん保険に抱きがちな2つの誤解を、ズバッと解消します。
- 「がん保険に入ってるか」と「がんの治癒」は無関係
- 先進医療が必要なケースはごく稀
「がん保険に入ってるか」と「がんの治癒」は無関係
がん保険は、がんになったり入院・手術をしたら「お金がでるだけ」です。
つまり、「がん保険に入ってるか」と「がんの治癒」は無関係ってこと。
(改めて考えると、当たり前ですよね。)
がん保険のCMは
- がんになったけど
- がん保険に入っていて
- 助かった(めでたしめでたし)
こんなストーリーがありがちですが、イメージ戦略に騙されてはいけません。
②と③に繋がりはないので、誤解なきようご注意を。
先進医療が必要なケースはごく稀
陽子線治療・重粒子線治療が、がんによく使われる先進医療です。
費用は300万円くらいかかるけど、行われてるのは年5,000件のみ。
がん患者は約300万人なので、単純計算で対象になるのは0.17%ほどなんですね。
これをどう感じるかは個人の価値観ですが、僕は非常にレアケースだと思います。
《先進医療へのよくある誤解》
先進医療は「最先端の画期的な医療」…ではありません!
「保険適用にするか検討中の、効果があるか分からない医療」のことです。
(効果があると認められた先進医療は、順番に保険適用になります。)
決して「お金持ち専用の病気が治る可能性が高い最新技術」…とかじゃ無いのでご注意を^^
これらを考えると、先進医療は心配しなくてOKかなと。
先進医療特約は「特約」なので、がん保険の本体に加入しないといけないのも大きなデメリット。
※特約単体の保険もありますが、保険料がかなり割高なので×
がん保険の先進医療特約は、
- 先進医療とは何か
- がん患者で必要になる確率はどのくらいか
- そのとき、いくら必要なのか
これらの知識があって、「それでも必要だ!」と判断して加入するものです。
「なんとなく不安だから入ろう」と思っていた人にとって、無用の長物ですね^^
まとめ:がん保険は不要です!
100万円貯金があるなら、がん保険は不要です。
「自分の年齢でがんになる確率がめちゃくちゃ低い」と知っても、がんに怖いイメージがあるのは「命の危険」を感じるから。
でも、がん保険は「がんになったらお金がもらえるだけ」だし、治癒とも無関係でしたよね。
なので、がん保険について考える時は、いったん感情を抜きにして、冷静に数字(つまりお金)で計算してみましょう。
そのうえで、コスパが悪いと分かってるけど、どうしても気持ち的に入りたいなら、がん保険に加入するのもアリだと思います。
以上、参考になれば幸いです。
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